【検証】さくらのVPSを実際に使ってみた
さくらのVPSなら安心という記事は多いですが、使ってみないとわからないですよね。申込みから利用できるサービスの内容まで、じっくりと調べてみました。VPSを乗り換える人も、これからVPSを利用しようと探している人も必見です!
基本的なスペック
まずはOSやCPUなど、さくらVPSの基本スペックを紹介してゆきますね。
さくらのVPSの仕様(Linux OS用)
さくらのVPSには、Linux用とWindows Server用があります。今回は表のようなLinux OSにして、このラインアップから2Gプランのリージョン(サーバ設置場所)東京を選択しています。石狩でもいいと思いますが、東京を選んだ理由は単純に近いから(笑)
私は関東に住んでいるので、サーバの設置場所から少しでも近い方がやりとりする時間が短くて、ストレスが少ないと判断しているからです。実際には国内なので、差は体感できるほどありませんけどね(笑)
詳しい計測値
ターミナルエミュレータで実際に計測した数字です。料金とスペックからして、個人的には相当いい感触です。サーバ実機には、安定したCPU のE5-2650が搭載されていますね。
lscpuコマンドで計測
アーキテクチャ | x86_64 |
---|---|
CPU op-mode(s) | 32-bit, 64-bit |
Byte Order | Little Endian |
CPU(s) | 3 |
On-line CPU(s) list | 0-2 |
コアあたりのスレッド数 | 1 |
ソケットあたりのコア数 | 1 |
Socket(s) | 3 |
NUMAノード | 1 |
ベンダーID | GenuineIntel |
CPUファミリー | 6 |
モデル | 62 |
Model name | Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2650 v2 @ 2.60GHz |
ステッピング | 4 |
CPU MHz | 2599.998 |
BogoMIPS | 5199.99 |
仮想化 | VT-x |
ハイパーバイザーベンダー | KVM |
仮想化タイプ | 完全仮想化 |
L1d キャッシュ | 32K |
L1i キャッシュ | 32K |
L2 キャッシュ | 256K |
L3 キャッシュ | 20480K |
NUMAノード 0 CPU | 0-2 |
UnixBenchコマンドで計測
2つのレジスタを使ってシステム(整数)プログラミングの性能 | 31449178 |
---|---|
浮動小数点演算性能 | 4068 |
関数の呼び出し性能 | 2066 |
ファイルのコピー(バッファサイズ1024バイト) | 900949 |
ファイルのコピー(バッファサイズ256バイト) | 269421 |
ファイルのコピー(バッファサイズ4096バイト) | 1822124 |
パイプ処理のスループット | 1776730 |
パイプベースのコンテキストのスイッチング処理 | 255585 |
プロセス作成 | 5589 |
システムコールでのオーバーヘッド | 3407568 |
1つだけシェルスクリプトの実行 | 4968 |
8つ同時にシェルスクリプトの実行 | 1219 |
System Benchmarks Index Score(総合評価) | 1305 |
(注)実行回数は5回で、3 CPUs in system; running 1 parallel copy of testsの数値
OSやOSテンプレートのラインアップ
OSは基本的で最新のものが中心に揃っています。ただ、より機能を限定して充実させたOSテンプレート(アプリケーションテンプレートともいう)は、KUSANAGI とSiteGuardの2つしかありません。(2017年8月時点)
これだけをみると、VPS利用者のターゲットを中級者以上にしているように感じます。好きなことは、自分で探してやってみてね!のスタンスかもしれません。
それとも、一つコラボすると次から次へとオファーが来て、運営会社として大変なので、このような状況になっているのでしょうか。だとすると、さくらは老舗で信頼度最上位の業者なので、コラボ相手にとってハードルは相当高いですね‥
使ってみたいサービス
ここでは私が契約前から気になっていた、今後使ってみたいお役立ちサービスについて解説します。
ローカルネットワーク
ローカルネットワークとは、インターネット側からあたかも一台のサーバのようにみえる複数のサーバ構成を、簡単に組むことができるしくみです。サーバ負荷を手軽に分散することができます。
ハイブリッド接続
ハイブリッド接続とは、サイトの仕様に基づいて、VPSなどの仮想サーバと自身で保有するサーバ機器などをつなぐことができるしくみです。機器などの無駄を省くことにもつながります。
SiteGuard Lite(WAF)
SiteGuard Liteとはファイアウォールで、さくらのVPS利用者は無料にて簡単に利用できます。CMSのセキュリティ対策にも使えますね。
実際に使ってみた雑感
画面キャプチャーと使ってみた実際の動画でご紹介していきます!
申込方法
無料で試用できるので、まずは申込み。といっても、やり方は通常(有料)の申込方法と同じです。誰でも2週間は無料で試すことができます。なお通常利用する場合は、2週間無料のおまけは有効で、この期間が終了してから課金が始まります。
プラン選択
おすすめのメモリ「2G」プランを選択してみました。魅惑のハイスペック「32G」でもメモリ単価はほとんど一緒ですが、まとめ買いのメリットは残念ながらありません(笑)
「リージョン・ゾーン」と「ストレージ」の選択
画面がかわったら、「リージョン・ゾーン」と「ストレージ」とそれぞれ選択します。「リージョン・ゾーン」とはサーバの設置場所で、石狩(北海道)と東京の2ヶ所から選択できます。正式利用する場合は、両方とも初期費用が2,160円かかるのです。無料ではないので注意!
続いて「ストレージ」の選択で、SSDとHDDから選ぶことができます。HDDの容量はSSDに比べて4倍に設定されています。SSDの速度とプライスを考えると、今でもHDDの容量がもっとあってもいいのでは?と思います。
「カートに入れる」ボタンをクリックします。カートボタンと書いてありますが、即課金されることはありません。
会員情報登録
利用者情報を入力して登録します。
電話認証
「SMSで認証コードを受け取る」ボタンをクリックします。すると携帯にSMSで認証コードが送付されます。画面が切り替わるので、そこに認証コードを入力してください。
VPS申込!
画面が切り替わったら、「VPSお申し込みページへ進む」ボタンをクリック。
支払い方法の入力
やっぱり、クレジットカード情報の入力画面が出てきました…これがあるから、試用する人が少ないのかなあと思いつつ、画面にそって登録。
最終確認
内容などをよく確認してから、最終的にVPS申込ボタンをクリック。なお、上のキャプチャー画像のように、「お試し期間中のサービスキャンセル手続きが可能」で、「キャンセルお手続きがない場合は、自動的に本登録」になってしまうので、お試し期間で終わりにする場合は要注意!!
コントロールパネル
VPS専用のコントロールパネル上で設定します。他のサービスと共用ではないので、メニュー画面はすっきりしています。それではだいたいの流れを説明していきますね。
ログイン画面
VPS専用のURLにアクセスするとこの画面が出ます。割り振られた固定のIPアドレスでもログインできますが、今回は会員IDを使っています。
サーバ一覧画面
契約中のサーバが表示されるので、設定したいサーバ名を選択。今回は一つだけ登録しています。サーバの概要の部分(赤枠部分)をクリックすると、先に進みます。
コントロールパネル画面
Linuxの通常操作はTera Termなどのターミナルエミュレータを使いますが、それ以前の作業はこのコントロールパネルだけが頼りです。さくらのVPSは、ちょうどいい感じです。サーバのスペックとプルダウンのメニューが、優先順位で整理されているからです。
VPSの操作では、次の3つがあればまずは十分。
- 再起動、停止(ターミナルエミュレータではできない時のために)
- OSの(再)インストール
- リソース情報(負荷などのの簡易チェック)
OSの(再)インストール画面
プルダウンのメニューのOSインストールをクリックすると、「標準・カスタム・ISOイメージ」の3つのメニューが表示されます。これから順番に開いてみたいと思います。
標準OSインストール
「標準」には、6つのOSやOSとセットになったテンプレートが用意されています。やっはり、CentOSとUbuntuなんですね。
標準OSのテンプレートには、WordPressなどのCMSを超速で動かすKUSANAGIが含まれています。インストール手順を簡単に説明したのが上の動画です。WordPress以外にも、Concrete5とDrupal8にも対応しています。なお、無料SSLのLet’s Encryptも簡単な操作で導入可能です。
カスタムOSインストール
続いて「カスタム」OSですが、14種類用意されています。やはり、比較的新しいものが中心に揃っています。
ISOイメージインストール
最後に「ISOイメージ」です。サプメニューをクリックすると、説明画面が出てきます。これで自分の好きなOSが使えるようになります。まずは、データをアップロードするための手続きがあり、SFTPのアカウント取得が必要です。
スタートアップスクリプト
「OSやOSテンプレートのラインアップ」で、用意されているものが少ないと書きましたが、代わり「スタートアップスクリプト」が利用できるようになっています。
さくらのVPSが用意したスクリプトを、サーバの初回設定時に実行すると、パッケージも一緒に自動的にインストールしてくれる、とてもありがたい機能です。スクリプトを指定すれば一発なので、手間が省けますね。
OSとそのバージョンによって対応内容が若干違いますが、よく使うものがあらかじめ登録されています。
インストール方法は、上の動画を参照してみてください。
使ってみてわかった、さくらのVPSメリットとデメリット
個人的にさくらVPSを使ってみたので、メリットとデメリットを紹介していきます。
さくらのVPSメリット
なんといってもネットワークのスピードが速いことだと思います。詳細は以下の通りです。
- ネットワークスピード(Speedtest.net by Ookla)
計測結果は、上のスクリプトの実行結果によります。さくらのVPS(試用状態)のスピードは下りで100Mbps近くですが、上り(サーバからの発信)で2Mbpsに落ちています。これは試用期間中の制限値通りの値で、通常のスピードも下りと同様の数字を予感させます。 - WordPressトップページ表示スピード(GTmetrix)
超速KUSANAGIというOSテンプレートで、WordPressを動かした場合の表示スピードを計測してみました。試用期間中の、中身が無いディフォルトのテーマでの計測のため、あくまで参考値です。
AとBランクで、かなりいい感じだと思います。
CDNは未設定なので仕方ありませんが、他は概ね好調です。
さくらのVPSデメリット
最低契約期間は3か月で、長すぎるので他の項目はいいのにだけに残念!短期勝負の方は注意が必要ですね。長期で使う方には、問題ないのかもしれません。
検証用に少しだけ使う場合は、時間課金の「さくらのクラウド」を選ぶとよいでしょう。ただ、最低スペックでも月額換算2,300円からなので、決して安くはありません。
それでもなぜさくらのVPSを利用したいのか!
それは、さくらだからです!やはり次のようなポイントからでしょうか。
圧倒的なブランド力
20年前の1996年から、共用レンタルサーバサービス事業を開始している老舗会社です。その期間に培った膨大なノウハウからくる安心感は、代えがたいものがあります。
安心のセキュリティ
広く情報セキュリティを考えた場合、自社運営のデータセンターの充実度も参考になります。特に北海道の石狩データセンターが、サーバの継続的な利用を可能にする施設という意味で、とても重要と考えています。セキュリティは、なにもランサムウェアからどうやって守るかだけではありません。
情報が豊富
困ったことがあったら公式のオンラインマニュアルで探したり、インターネットで検索したりすれば、たいがい自己解決できます。サービスの利用者が多いと、トラブルとその解決方法を掲載したサイトも増えて、ますます便利になりますね。ただ電話サポートは対応者のスキルにどうしても個人差があるので、対応に批判的なコメントも多いのは事実です。
まとめ
さくらのVPSを実際に使ってみた雑感をまとめてみました。個人用途ばかりでなく、ビジネスでも利用できる安心感があります。絞り込んだ基本機能に隠れて、便利な機能も用意されています。筆者はさくらのVPSの中の人ではありませんが、初めてのVPS選びに迷ったらまずはさくらを候補に入れてみてはいかがでしょうか。
※この記事をお読みいただく際の注意事項
掲載している操作方法や画像などは、2017年8月時点のものです。その後のVPSサービス自体の変更には、一部対応していないことが予想されます。またこのページの手順でサーバを構築した際に、もし問題が発生した場合には、責任を負う事ができかねます。あらかじめご了承ください。記事の内容は、筆者個人の感想を含んでおります。サービスの利用目的により、雑感が変動することもありますのでご注意ください。
この記事を書いた人 | yama |
ライタープロフィール | 企業でWebmasterとして10年間の経験を活かしライター、デザイナー、コーダーとして活動中。情報セキュリティの認証取得経験があり、利便性とリスクのバランスを考えた仕事を心がけている。国内外のVPS(Linux/Windows)を多数利用している。 |